コロナ禍の藤井風という存在

 デビューしたのが 2020年1月 。NY での MV 撮影をギリギリ19年に済ませられたのが奇跡。本人は色々な場面で奇跡を口にしてるし、WDMズッズさんも武道館ドキュメンタリーで話していたように、コロナ禍だから一層人に届いたのではというのは勿論だと思う。

 それでも、まずデビュー曲にして名曲 何なんw と本人のキャラクターを表現する時、さらに今となってはコロナ以前の NY という悲痛な思い出さえ感じられる舞台で躍動する美しい青年、これが実現したことが奇跡なんじゃないか。これ以降は人々が努力しておこす奇跡だけど、ゴタゴタを乗り越えてかなったという本人が言う奇跡とは違う、期せずしておきた奇跡だと思う。

 撮影してからたった2か月後のデビュー曲リリースの1月にはもう世界中がコロナの影に引きずり込まれていた。19年には既にライブやフェス、当然ながらずっと続けてきたYouTube 動画のファンなどがいて、デビュー=0からの出発というわけではなかった。それにしても何なん😱な状況だったはず。

 そして私自身の状況といえば、超高齢の親と犬を抱えて、選択肢は家籠り一択しかなかった。これまで40年以上、年に10本くらい美術展に行き、友人とランチをし、ちょこちょこ仕事があり、な生活だったのに、突然何もなくなったわけだ。仕事はコロナには関係なく自分の状態のためで、コロナ禍でできなくなってしまった人の悲嘆とは比べものにならないが。

 そんな生活が丸1年を超えたあたりで、とにかくArt が足りない!状態だったのだろう。展覧会は外出しなければならない、でも音楽を聴くなら大丈夫。そんな時に風さんにブチ当たってしまったんだと思う。私には「帰ろう」に涙するつらい、悲しい状況はまだおきていない。でもいつおきてもおかしくないのは十分わかっている。そんな状態であり、いつ終わるかは全く見えない。そりゃハマりますよね。正直に言えば、風沼に落ちた時はまだ何にも考えてなかった。ただただなんて魅力的なんだろうと思っただけだった。それでもコロナ禍の状況でなかったら、そもそも音楽を聞こうと考えなかったのは確実だろう。YouTube のコメント欄を読むのが楽しみになって、風さんの人柄などを知り、ますます沼落ちしていったわけだ。