風沼 LASAの1週間

 LASA 発表から1週間経ち、やっと落ち着いて聴けるようになった。まつりを2日がかりで消化して、実質的には残りの新曲5曲分を1週間で消化した感じだ。

 冒頭のきらりと最後の青春病・旅路は謂わば包装紙。藤井風ブランドの掛け紙。勿論すごく大事だけど、2枚目のアルバムの実質はその間の8曲と言えるだろう。まつりは何なんwにあたり、それでは、は帰ろうにあたる。あたり過ぎてかえって違うのかと思うくらい。本人もまつりは第二のデビュー曲と言ってもいいと。燃えよは運と縁に恵まれた幸福な曲ということなので、ちょっと別格。制作時期も一番古い曲で、若く情熱的でもう書けないかもと。

 へでもねーよ(LASA edit) はもうええわ。ガーデンは優しさ。やば。とdamn は調子のっちゃてや死ぬのがいいわにあたるだろう。ロンリーラプソディーはまさに風よの味。それでは、が実質的に最後の曲。「お元気で〜♪」と歌ってしまっているのだから。

 青春病は大好きな曲で、どこに置くかよく考えたというが、最後に決まっている旅路があるので、ここしかありえないだろう。

 

 このようにHEHN と対というか対照をなすLASA 。モノクロで禁欲的、緊張感と高揚感が綯い混ぜになった1st アルバムから、暖色系で花に囲まれて、微笑みを湛えるジャケットそのままの曲調の2nd。硬質な声の1st から、柔らかく自在に移る声の2nd。コンサートどうするのか心配になる程ファルセットも多い。LASA (8曲) はイントロ付きも多い、というか全部?まつりの篠笛・へでもねーよの尺八の和楽器。やば。それでは、の綺麗なピアノ。どれも印象的なイントロが美しい。

 Kirari Remixes がこの為の実験だったのかと思う程、吐息・yes ・yeh・hoow とか歌声ではない合いの手?も多かった。Original Remix の吐息はホントに破壊力抜群でしたからねー。吐息だけでなく、ちょっとした装飾が Remix からの引用という感じがする。

 

 若々しい、明るい、おめでたいアルバムとのことだが、「死」のニオイがするのは何故だろう。嗅いでは強過ぎるし、匂いではそぐわない。気配では弱いし、雰囲気では甘い気がして、なんて言えばいいのか困るのだが。風さんの曲には珍しい恋とか好きになるとかの言葉があっても、結局普通の恋の歌じゃないのはもう理解している。まつりの「好きにしてください」が英訳を読んで、自分をあなたが好きにしていいという意味だったのには衝撃を受けた。風さんの歌詞は普通の文脈では理解しきれない上に、受け手次第で好きに聞いて欲しいとか言われるので、自分の感覚が合っているか自信は無い。

 インタビューで、メロディーが歌詞を教えてくれると言っていた。つまりこの美しいメロディーがこの死のニオイの纏わりついた言葉を誘い出しているのだろうか。それを風さん本人はもとより、ズッズさんや、曲の根本を左右するアレンジのYaffle さんが感じないとは思えないのだが。私の感覚が誤解であっても、そう感じさせるものがあることは確かと思える。はっきりしておきたいのだが、死のニオイが不快なわけではない。だから歌詞が暗いなんていうつもりはない。彼にとっては良い事も悪い事も、私もあなたも、生と死も、一時的な事で、溶けていくもの、なんだろう。それを野ざらしにされた場所の獣に呑まれるのが普通の二十歳そこそこの青年が歌っていることに驚嘆?驚愕してしまうのだ。